先日たまたま立ち寄った亀戸天神に楷樹があった。
楷は複葉が左右に整然と並び、端正で剛直な姿をとどめていることから楷書の語源と言われている。

中国(支那)原産のウルシ科の落葉高木で、曲阜の孔子廟に弟子の子貢が自ら植えたと伝わり、幹も枝もまっすぐ伸びるのが特長である。
大正4年白沢保美博士が、その種子を中国から持ちかえり苗に育てたのが、我が国に渡来した初めといわれる。
楷は雌雄異株である上、各所に分散しているために、また花が咲くまでに30年余要するということから日本では種子を得ることができなかった。

新緑の楷の葉は風に揺られながらも凛としていた。
こんなにも綺麗に整列した歯が自然の中から発生するとはなんとも不思議である。
楷樹の隣には筆塚があった。
その横には「書道が上手くなりますように」と綺麗な文字で書かれた絵馬があった。
7月私にとっての新たなスタート、この楷樹は何かの暗示と受け止めて進んで行こうと思う。


※孔子廟
孔子廟(こうしびょう)は、中国、春秋時代の思想家、儒教の創始者である孔子を祀っている霊廟。
※白沢 保美
1868年(慶応4年)4月 – 1947年12月20日)は、日本の樹木学者。東京市の初期、都市緑化事業の指導にあたる。
※筆塚
役目を終えた筆に感謝し、それらを供養するためにつくられた塚のこと。